副住職の1ヶ月日記

令和8年10月
正法の者は爪上の土のごとし
日蓮聖人のお手紙から
=多数派が正しいとは限らない=
「お日さまは東から昇り、西に沈む」という言い方があります。16世紀、宇宙の中心は地球だとし、太陽や星が地球の周りを回る「天動説」が多数派で、コペルニクスやガリレオが唱えた「地動説」は少数派で異端視されました。その後の天文学の発達によって「地動説」が正しかったと証明されました。
日本でも明治時代、「脚気」は細菌が原因の病だとするのが多数意見でしたが、現場のデータを基に栄養不足が原因とした少数意見が正しかったことが後に明らかになりました。
現代社会でも民主主義の名の下に多くの物事が多数決で決められます。しかし自分でよく考えず、長いものにまかれ、多数意見に賛同してしまうこともあります。
「正しいことを行う人は、爪の上の土のようにわずかである」。この言葉を胸に刻み、どこに真実があるのか、少数意見にも耳を傾けていきましょう。
令和8年9月
今 日蓮は日本第一の法華経の行者なり
日蓮聖人のお手紙から
=日蓮聖人を知ろう!=
日蓮聖人とはどのような僧侶だったのかをご存知ですか?
時は鎌倉時代、「日本は仏教国なのに国が乱れているのは何故だろう? お釈迦さまの教えは1つであるはずなのになぜいろいろな宗派に分かれているのだろう?」というのが若き日蓮聖人の一番の疑問でした。
比叡山での勉学を中心に諸宗の教えを学ばれた結果、たどり着かれたのがお釈迦さまの「人ではなく法(教え)に従いなさい」という教えで、本当に言いたいことは「法華経」にあると確信されたのです。
「人びとの本当の幸せ、世界の平和をもたらすには法華経を伝え弘めるしかない」という決意のもと、それを実践されたため、数々のご法難(迫害)に遭われました。しかし、この実践と迫害の結果はすでに法華経に説かれていたため、自身がまさに法華経の行者であると認識されたのです。
来る令和13年に日蓮聖人第750遠忌を迎えます。今一度「日蓮聖人を知る」から始めてみませんか?
令和8年7月
我が己心を観じて十法界を見る
日蓮聖人のお手紙から
=自分の心と向き合う=
「りくりゅうペア」をはじめ、さまざまな国の選手の活躍で盛り上がったミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック。
他国のライバル選手の最高の演技やメダルの獲得を、互いに心から祝福し合う光景が見られました。他人の歓びを自分の歓びとして受けとめるその姿は、多くの感動を呼びました。
ともすると、私たちは他人を妬んだり、不幸を喜んでしまいます。これは、私たちの心のなかに他人を貶め自分のことしか考えない「地獄の心」から、他人に手を差し伸べる優しい「仏の心」まで、十段階に分かれる「十界」が存在するからです。
身の回りの出来事に対して、今の自分はどういう心の状態なのか。静かに自分の正直な心の状態を見つめてみましょう。
たとえそれが地獄のような心であっても、仏さまのような優しい心に変えてくれるのがお題目なのです。
令和8年5月
心の師とはなるとも心を師とせざれ
日蓮聖人のお手紙から
=心の指針となるもの=
「心のおもむくままに…」「本当の自分を大切に…」――素晴らしい言葉です。人生に行き詰まり、生きるのが苦しくなったとき、このような言葉に救われた人も多いでしょう。
しかし一方で、自分の心に翻弄され、「何が本当の自分なのかわからない」と考えてしまうこともあるでしょう。
一体何のために生きているのか、希望も喜びも見いだせなくなってしまったときこそ、私たちには〝心の指針〟が必要です。
コロコロと変わる自分の心を師とするよりも、心を導く指針、すなわち〝心の師〟を持つことが必要なのです。
日蓮聖人はどんなときも、お釈迦さまの真実の教えである『法華経』を心の指針とすることが真の幸せへと至る道だと説いています。人生に迷い、生きることが辛くなったとき、どうか『法華経』の教えに触れてみてください。
令和8年4月
吉事には八日をつかひ給ひ候也
日蓮聖人のお手紙から
=お釈迦さまの誕生日=
4月8日は何の日かご存知ですか?
私たち仏教徒が大切にしている日の1つで、お釈迦さまの誕生日になります。
世界にはこの日(旧暦での同日にあたる日)を祝日と定める国もありますが、日本ではお釈迦さまの誕生仏に甘茶をかけてお祝いしています。
これはお釈迦さまの誕生時に天から甘露の雨がそそがれたという伝承に由来します。お釈迦さまは国の王子としてお生まれになられましたが、人生に悩み苦しまれたため、出家され、私たちが本当の幸せを得る方法を悟られました。
それが仏教です。
日蓮聖人は古来、お釈迦さまの生まれた8の日が吉事に用いられたと仰られています。
どうか皆さん、8の日にはお釈迦さまを思い出して、その教えの仏教に触れてみてください。きっとあなたの人生に光が見えてくるはずです。
4月8日はお釈迦さまの誕生日、お寺にお参りしましょう!
令和8年3月
陰德あれば陽報あり
日蓮聖人のお手紙から
=陰ながら徳を積む=
この言葉は日蓮聖人のご遺文に示されていますが、元は中国に古くから伝わる言葉で、「陰ながらに徳を積めば、良い報いがある」という意味です。
もともと陰ながらに徳行を積む人は、その文字通り〝陰ながら〟ですので、陽報は望んでないかもしれません。また目立たなくても仕事・家事に関わらず、誰かのために少しでも役立つことをしているならば、それは陰徳といえるでしょう。
実際にその結果が目に見える形で自分に返ってきているのかわからないこともあります。
でも、もし何かすることによって誰かの平安な顔や無事を想像することができるならば、それは立派な陽報であり、あなたの陰徳です。
また困難ななかにあっても陰徳を積み続けるのなら、必ず道は開けることでしょう。
令和8年1月
妙法の五字を唱えずということなし
日蓮聖人のお手紙から
=すべてのものは…=
掲示の「妙法の五字を唱えずということなし」の前には「吹く風も、ゆるぐ木草も、流るる水の音までも」が入ります。
これは日蓮聖人が住まわれた山梨県にある身延山の自然や四季などのなかから、さまざまなものを感得されたことを表しています。
私たちも植物の芽吹きにいのちを感じ、青々とした木草や咲き誇る花に生きる力を感じ、紅葉には不可思議な美しさと同時に儚さも思わせます。しかし、また必ず春になり、いのちが輝くことも知っています。
すべてのものは妙法・南無妙法蓮華経…、つまり宇宙の摂理・真理の顕れです。いのちが成り立つための四大(地・水・火・風)は私たち人間が作ったものではなく、天与のものです。大いなる力、働き、作用があり、この世界は支えられています。
世界のありように気づき、そのなかで生かされている私たち自身を知る。そうして謙虚に生きていきましょう。
